日本酒の「旨口(うまくち)」とは?おすすめの旨口日本酒10選も紹介!
posted on 2022-03-15
updated on 2022-08-29
はじめに
日本酒を購入するうえで参考になるのが、甘口・辛口といった味の指標。飲みやすい甘口やスッキリとした辛口から、お気に入りの日本酒を選ぶ方も多いと思います。
しかし、実はもう一つ、「旨口(うまくち)」という指標があるのをご存じでしょうか?
こちらの記事では、あまり聞き馴染みのない味の指標「旨口」について解説します。あわせて、おすすめの旨口日本酒10選をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
日本酒における「旨口(うまくち)」とは?
甘くて飲みやすい日本酒は「甘口」、スッキリとして辛い日本酒は「辛口」……。
そしてもう一つ、日本酒における「旨口」とは、どのような味わいの日本酒を表しているのでしょうか?
旨口は「甘口」をいいかえた言葉
実は、日本酒における「旨口」は、「甘口」を言い換えた言葉です。一般的に「甘口」といわれる日本酒は、その多くが「旨口」を表しています。
「旨口」は、ピリッとした辛味よりもお米のコクと奥行きのある味わいが特徴。相対的に辛味を感じにくいことから、「甘口」と表現されてしまうのです。
日本酒を購入するうえでよく聞く「甘口」や「辛口」、そして「旨口」は、日本酒の中に含まれている糖分の多さを数値化した「日本酒度」という値によって、分けられています。日本酒度が「+(プラス)」になるほど辛口、「−(マイナス)」になるほど甘口(旨口)の味わいを表しているので、日本酒を選ぶ際の参考にしてみてください。
誤解されやすい「甘口」から「旨口」へ
前述の通り、日本酒における「甘口」「辛口」の違いは、日本酒度によって分けられます。しかし、実際の甘味の感じ方は、日本酒に含まれている酸度(さんど)やアミノ酸量、飲む人の感覚にも影響されます。
「甘口」という表現は、「甘くて飲みやすい味わい」と認識されやすいですが、必ずしもそうではありません。このような誤解を避けるためにも、「旨口」という表現をした方が適切という意見もあります。
ただ単に、日本酒度だけを見て「甘口」「辛口」と決めつけないという考え方です。
旨口の特徴(味わい)
では、「旨口」の日本酒はどのような味わいなのでしょうか?
日本酒における「旨口」とは、お米の旨味やコクのあるふくよかな香りをしっかりと感じられたり、お米の余韻が長く続いたりとお米のおいしさを存分に楽しめる味わいのこと。米由来の旨味が強い日本酒が「旨口」と表現される傾向にあります。
一般的には、生酛(きもと)造りや山廃(やまはい)仕込み製法の日本酒が「旨口」と表現され、キレがありつつもお米の旨味を存分に楽しめる味わいです。さらにお米の旨味を引き出したいときは、日本酒を20度以上に温めるのがおすすめ。温めることでお米の香りや旨味が広がり、よりまろやかで香ばしい香りが引き立ちます。
旨口の日本酒と相性の良い料理
せっかく旨口の日本酒を味わうのならば、相性の良い料理を一緒にいただきましょう。
例えば、濃い味付けの料理や、よく油が乗ったコッテリとした料理。油をたっぷりと使用した濃い味付けのチンジャオロースや麻婆豆腐、すき焼などがおすすめです。旨口の日本酒が、口の中をスッキリとしてくれ、上手く包んでくれます。
さらに、旨口の日本酒と相性ぴったりなのがチーズです。臭みのある食材でも、旨口の日本酒ならまろやかにしてくれます。そのままチーズと一緒に合わせるのもおすすめですが、じゃがいものチーズ焼きやグラタンなどにアレンジしてもおいしく楽しめます。 おすすめの人気日本酒ランキング10選(旨口)
ここからは、「おすすめの人気日本酒ランキング10選〜旨口編〜」をご紹介します。
尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 山田錦50
群馬県館林市にある龍神酒造は、江戸時代から続く老舗の酒蔵です。近年では、若者が手に取りやすいSNS映えするような日本酒やフルーティーで飲みやすい日本酒など、魅力的な商品を多く開発しています。
「尾瀬の雪どけ 純米大吟醸山田錦50」は、山田錦だからこそできるお米の上品さが際立つ日本酒。甘みとスッキリとした辛味のバランスが良く、飲みやすい味わいに仕上がっています。
男山 純米大吟醸
おとこやま じゅんまいだいぎんじょう
1977年に、日本酒で世界初となるモンドセレクション金賞を受賞した「男山(おとこやま) 純米大吟醸」。それ以降、40年以上にわたり受賞し続け、他にも国内外問わずさまざまなコンクールで受賞し続けています。
兵庫県産山田錦を38%まで磨きあげたことで、お米の旨味をしっかりと感じられる日本酒に仕上げました。穏やかに広がる芳醇な香り、上品な味わいを楽しめる日本酒です。
紀土 純米大吟醸 山田50
和歌山県の酒蔵として有名な平和酒造。日本酒だけではなく、クラフトビールやリキュールも手がけています。
「紀土(きっど) 純米大吟醸 山田50」は、大吟醸のような香り高いフルーティーさもありながら、お米の旨味をふんわりと感じられる味わいに仕上がっています。酸味と旨味の調和の取れた風味も心地よく、穏やかで飲みやすい日本酒です。初めての方でも飲みやすく、日本酒のおいしさを味わうならこちら。
醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦
なかなか手に入らない日本酒といえば萬乗醸造が手がける「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」。ほとんど流通することがなく、店頭に並んでもあっという間に売り切れてしまうという幻の日本酒です。
フレッシュな酸味とふくみのあるお米の旨味がバランスよく交わり、口の中にふんわりと広がります。味わい深い山田錦を使用することで、日本酒の旨味をより引き出し、風味豊かな日本酒に仕上げました。日本酒を楽しみたい方全てに、おすすめの日本酒です。
伯楽星 純米大吟醸
はくらくせい じゅんまいだいぎんじょう
最高の食中酒として呼び声高い日本酒といえば、宮城県に酒蔵を構える株式会社新澤醸造店の「伯楽星(はくらくせい) 」。
フルーティーで華やかな香りが特徴の大吟醸ですが、伯楽星はお米の旨味をより引き出した味わいが特徴の日本酒です。バナナやメロンのようなフルーツの香りがスッと駆け抜けたと思えば、お米の旨味と爽やかな酸味が口の中を優しく包み込んでくれます。和洋中どんな料理とも合う、万能な日本酒です。
獺祭 純米大吟醸 45
世界約30カ国以上で愛されている日本酒といえば、山口県が誇る酒蔵「旭酒造」の「獺祭(だっさい)」。「美味しくなければ意味がない」を獺祭のスタンダードとして、山田錦を豪快にも45%まで磨き上げました。
外国の方でも飲みやすい軽快な飲み口と、お米の旨味が特徴の本商品。日本酒を開けたときの華やかな香りがフワッと広がり、米由来のふくよかな味わいを口の中いっぱいに楽しめます。
玉川 純米大吟醸
たまがわ じゅんまいだいぎんじょう
京都が誇る酒蔵メーカー「木下酒造有限会社」。日本だけではなく、海外からも人気の酒造です。京都のお土産としても愛されています。
中でも「玉川 純米大吟醸」は、お米の上品な旨味が長く楽しめる日本酒。大吟醸部門で最も飲まれているお酒で、海外にも多く輸出されています。口に含んだときに香るお米の旨味、芳醇な味わい、そして落ち着いた飲みやすさ。ずっと口に含んでおきたいような心地よさも魅力の日本酒です。
作 雅乃智 中取り 純米大吟醸
ざく みやびのとも なかどり じゅんまいだいぎんじょう
フルーティーな香りが特徴的ながらも、しっかりとしたお米の旨味も感じられる「作(ざく)」は、三重県にある酒蔵「清水清三郎商店」で製造されています。これまで雑誌やテレビなどのメディアでも数多く取り上げられ、さらに国内外のコンクールでの受賞歴も誇ります。
「作 雅乃智(ざく みやびのとも)」は、香りと味わいのバランスが良く、香り豊かな風味を楽しめる一方で、お米のどっしりとした深みのある旨味も楽しめる。1本で日本酒の旨味も香りも網羅できる貴重な日本酒です。
久保田 純米大吟醸
キリッとした表情を見せることが多い新潟県の日本酒。中でも「久保田 純米大吟醸」は、香り、甘味、キレが融合した日本酒として知られています。
モダンなデザインが施されたのは、久保田の新しい挑戦を意味しており、新しいおいしさを追求した久保田の決意が感じられます。フルーティーで華やかな香りの中にお米の旨味がそっと顔を出し、キレとの調和を生み出した味わい。初めての方でも飲みやすい、お米の旨味をしっかりと楽しめる日本酒です。
雪の茅舎 大吟醸
プレゼントにぴったりな「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ) 大吟醸」は、豪雪地帯である秋田県で製造されています。豊かな雪解け水を使用することで、お米の旨味を上手に引き出します。
爽やかで華やかな香りを感じつつ、軽快な喉ごし。低温の長期熟成でお米の旨みを最大限にまで導き出した芳醇な日本酒は、まさにプレゼントとして贈るのにぴったりの味わいです。1度飲んだだけでは全てを網羅できない、複雑かつ調和の取れたお米の味わいをぜひお楽しみください。
おすすめの旨口日本酒の採点まとめ
おすすめの人気日本酒を10選ご紹介したところで、総合評価を見ていきましょう。こちらも参考にして、お気に入りの日本酒を探してみてください。
外観:色の濃淡
<淡い>
・久保田 純米大吟醸(朝日酒造)
・獺祭 純米大吟醸45(旭酒造)
・玉川 純米大吟醸(木下酒造有限会社)
<濃い>
・尾瀬の雪どけ 純米大吟醸山田錦50(龍神酒造)
・男山 純米大吟醸(男山株式会社)
・紀土 純米大吟醸 山田50(平和酒造)濃い>淡い>
香り:香りの強弱
<弱い>
・男山 純米大吟醸(男山株式会社)
・伯楽星 純米大吟醸(株式会社新澤醸造店)
・玉川 純米大吟醸(木下酒造有限会社)
<強い>
・雪の茅舎 大吟醸(齋弥酒造店)
・作 雅乃智 中取り 純米大吟醸(清水清三郎商店)
・紀土 純米大吟醸 山田50(平和酒造)強い>弱い>
味わい:味わいの総評
<淡麗>
・男山 純米大吟醸(男山株式会社)
・玉川 純米大吟醸(木下酒造有限会社)
・久保田 純米大吟醸(朝日酒造)
<濃厚>
・醸し人九平次 純米大吟醸 山田錦(萬乗醸造)
・獺祭 純米大吟醸45(旭酒造)
・作 雅乃智 中取り 純米大吟醸(清水清三郎商店)濃厚>淡麗>
旨口の魅力を楽しめる日本酒を味わってみよう
日本酒を購入するうえで参考になる、「甘口」「辛口」「旨口」という指標。人によって感じ方はさまざまなので、知識として持ちつつも捉われ過ぎず、お気に入りの日本酒を探してみてください。
今回ご紹介した日本酒は、お米の旨味をしっかりと感じられるものばかり。実際に手に取ってみて、日本酒の「旨味」をゆったりと感じてみてはいかがでしょうか!
むなかたりょうこ
利酒師。福島県出身・京都在住のWEBライター。現在は、お酒を中心にグルメや旅行、取材記事の執筆を行っています。好きな日本酒は福島県の「奈良萬」。