コンクールで賞を取った、メダルのシールが貼られているワインを見かけた経験のある方は多いでしょう。しかし、あのシールはどのような意味を持って貼られているのかご存じの方は、それほど多くないと思われます。
世界各国で実施されるワインコンクールで賞を取ると、それぞれのメダルシールを貼ることが許されているのです。
世界中でさまざまなコンクールが開催され、そこでは厳正な審査が執り行われています。今回ご紹介するコンクールについては、次の通りです。
- ・インターナショナルワインチャレンジ(IWC)
- ・パリ農業コンクール
- ・ベルリンワイントロフィー
- ・ワイン スペクテイター
- ・マコンワインコンクール
- ・リヨン国際ワインコンクール
- ・ブリュッセル国際コンクール
- ・ボルドー コンクール
- ・オランジュ ワイン コンクール
- ・デキャンターワールドワインアワード
- ・フェミナリーゼコンクール
- ・日本ワインコンクール
- ・ジャパンワインチャレンジ
- ・サクラワインアワード
この記事では、それぞれのコンクールの特徴や違いについて詳しく説明します。コンクールやラベルの違いを知りたいワイン初心者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
世界のワインコンクール・品評会一覧
世界各国において、さまざまなワインコンクールが開催されています。
それぞれの特徴や違いについて、説明していきます。
コンテスト名 | 参加銘柄数 (直近開催年) | 受賞銘柄数 (直近開催年) | 主要な受賞銘柄名 |
---|---|---|---|
インターナショナルワインチャレンジ(IWC) | 9,000銘柄以上(2021年) | 金賞 290銘柄 銀賞 1,758銘柄 (2021年) | パイパー・エドシック ヴィンテージ 2008 メゾン アルバート ビショ クロ ドゥ ラ ロッシュ グラン クリュ キュヴェ シロ ショードロン オスピス ド ボーヌ 2019 |
パリ農業コンクール | 10,000点以上 | シャトー・ラフォレ・ピムゲ 2018 ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー ”シャトー・ド・ラ・ビゴティエール” | |
ベルリンワイントロフィー | 14,000点以上(2021年) | シャンモリ 山梨 甲州2021 クロ・ボールガール AOP ポムロール | |
ワイン スペクテイター | 約11,000本(2020年) | 100本(トップ100) | ドミナス2018 シャトー ピション ロングヴィル ラランド 2018 |
マコンワインコンクール | 10,000点以上 | シャトー ラ カルドンヌ 2015 | |
リヨン国際ワインコンクール | 約6,00点 | シャトー・ラグランジュ白 2020 | |
ブリュッセル国際コンクール | 9,000点以上 | クレマン ド ロワール NV ジャイアンス | |
ボルドー コンクール | 約4,000点 | ゴールド 389 シルバー 392 ブロンズ 134 (2022年) | シャトー ベル ヴュー2018 |
オランジュ ワイン コンクール | 約3,000点 | ゴールド 245 シルバー 216 ブロンズ 38 (2022年) | シャトー ラ ジェネスティエール AOC シャトーヌフ デュ パプ白 2021 |
デキャンターワールドワインアワード | 18,244本(2022年) | ベスト・イン・ショー 50 プラチナ 164 ゴールド 677 シルバー 5,900 ブロンズ 8,074 (2022年) | ラ・パラツェッタ ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2016 カンテサンス・デュ・プティ・マンサン 2017 |
フェミナリーズコンクール | 4,780点 (2022年) | サンクゼール チャペル ヴィンヤード+ 2018 | |
日本ワインコンクール | 706点 (2022年) | 部門最高賞 10 金賞 24 銀賞 71 銅賞 109 奨励賞 56 コストパフォーマンス賞 4 | ソラリス 千曲川 メルロー 2018 シャンモリ 柑橘香 勝沼甲州 2021 |
ジャパンワインチャレンジ | 1,100点以上 (2021年) | トロフィー賞 15 ベストバリュー賞 21 プラチナ賞 21 金賞 96 銀賞 213 銅賞 474 | サントネージュ かみのやま 2019 コンチャイトロ マルケス デ カーサ コンチャ エチケッタ ネグラ 2019 |
サクラアワード | 4,652点(2022年) | ダイヤモンドトロフィー 60 ダブルゴールド 286 ゴールド 1,425 シルバー 614 | サンタカロリーナ サンタゴールド ディープシャルドネ 2021 |
インターナショナルワインチャレンジ(IWC)
インターナショナルワインチャレンジは、1984年から開催されている世界で最も権威があるコンクールのうちの一つです。
世界各国から集まったワインに対して、約400名の審査員がブラインドテスト(銘柄を隠した状態でテイスティングする)を実施します。
金・銀・銅メダルのワインを2段階の審査で選び出し、さらにゴールドメダルのワインの中でもとくに優秀な「トロフィー」に選ばれるワインが選出されます。
第一線で活躍する審査員が選んだワインだということで、トロフィー受賞酒は世界的にも高い評価を得ることができます。
なお、2007年には日本酒部門も創設されています。
パリ農業コンクール
パリ農業コンクールは、フランスの農林水産省が主催するフランス最大級のワインコンクールです。
130年の歴史があり、フランス全土から毎年約1万種類のワインがエントリーしています。産地ごとの予備審査を通過したワインがパリでの本選に進み、厳選な審査が実施されます。
金賞は例年8%前後という狭き門で、受賞によって授与されたメダルの使用についてはフランスの公正取引委員会で厳正に管理されるという、権威のある称号です。
ベルリンワイントロフィー
ドイツのベルリンで開催される、国際的なワインコンクールです。
世界40カ国から夏の部・冬の部合わせて14,000種類以上のワインが集まり、ソムリエやネゴシアン(ワイン商)、ワイン醸造家などによって採点されます。
ワインは100点満点で評価され、点数の上位30%のみにメダルが授与されるなど、審査には公平性と厳格性が非常に重視されています。
受賞したすべてのワインに対して醸造学的分析をするなど、受賞によるさまざまな保証を得られるのも特徴的なコンテストです。
ワイン スペクテイター
アメリカのワイン専門誌「ワインスペクテイター」は毎年、年末になるとその年のトップ100ワインを選出しています。
各ワインは100点満点で評価され、90点以上のスコアがつけられたワインは世界的にも高評価となり、非常に影響力があります。
年間で1万本以上試飲されたワインの中から、品質・価格・入手難易度と「ワインの背景にある生産者のストーリー」といった視点から選ばれています。そのためスコアと順位は必ずしも一致していないのも、面白い部分だといえるでしょう。
マコンワインコンクール
フランス・ブルゴーニュ地方で開催されるワインコンクールです。
世界最大級のコンクールとして知られており、その規模はギネスブックにも登録されているほどです。
審査員はなんと約2,000名おり、非常に審査が厳しいことでも知られています。その分受賞するとワインの評価が高まるため、毎年注目度の高いコンクールとなっています。
リヨン国際ワインコンクール
リヨン国際ワインコンクールは、フランスのリヨンで毎年開催されるコンクールです。
約6,000点のワインが世界中から集まり、1,200名のテイスターの審査によって受賞が決まります。
リヨンは美食の都として知られていることもあり、ワインだけではなくビール・スピリッツ・チーズのコンテストも合わせて実施されています。
ブリュッセル国際コンクール
ブリュッセル国際コンクールは、ベルギーのブリュッセルで1995年より開催されているワインコンクールです。
世界各国から9,000種類以上のワインがエントリーし、厳正な審査が実施されています。
2018年には日本酒部門もつくられ、日本酒の発展にも寄与しています。
ボルドー コンクール
フランスのボルドーで1956年から開催されている、ボルドーワイン専門のコンクールです。
受賞したワインにはメダルが付与され、商品価値の向上を見込めることから例年多くの参加が見られます。
毎年生産者やソムリエなど1,000名前後のテイスターによってメダルがつけられ、約10%のワインが金賞に選出されています。
オランジュ ワイン コンクール
フランスのコート・デュ・ローヌ地方で開催される、ローヌ地方を対象としたコンクールです。
毎年約3,000点の出品があり、ソムリエや醸造家の審査によってメダルが授与されます。
1952年の創設以来、厳しい基準によってローヌ地方で産出されるワインの品質向上に寄与しているコンクールだといえるでしょう。
デキャンターワールドワインアワード
イギリスのワイン専門誌「デキャンタ―」が主催する国際的なワインコンテストが、デキャンターワールドワインアワードです。
インターナショナルワインアワードと並ぶ、世界で最も注目を集めるワインコンテストの一つです。
54カ国で18,000本以上と、世界最大級のワイン数が出品され、250名のテイスターによる審査が実施されます。
トップ50には「ベスト・イン・ショー」という、世界でもトップ銘柄として認められる栄誉を与えられます。
フェミナリーズコンクール
2007年より開催されている、女性審査員のみで開催されるコンクールです。
ソムリエ・醸造家・シェフなど、審査員全員が女性という、非常にユニークな視点のコンテストとなっています。
先進国ではワイン購入の70%は女性というデータもあることから、受賞したワインは「女性が選んだ女性に合うワイン」として購入につなげられるメリットも見込めます。
日本のワインコンクール
日本国内においても、さまざまなワインコンクールが開催されています。
それぞれに際立った特徴を持っており、いずれも魅力的なコンクールです。
日本のワイン、銘柄も、色んな人に知ってもらう機会でもあります。ご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
日本ワインコンクール
日本ワインコンクールは、日本産ワインを対象としたコンクールです。
100点満点で採点され、85点を超えるワインには金賞、82点で銀賞、80点で銅賞の受賞となっています。
ぶどう品種や色によって12の部門に分けられ、部門ごとに最高賞が決められます。
販売価格が2,000円未満のもので最高点(銀賞以上)のワインにはコストパフォーマンス賞も与えられ、安くておいしい国産ワインも探せるのが面白いところです。
ジャパンワインチャレンジ
ジャパンワインチャレンジは、アジア最大規模のワインコンテストの一つです。
世界28カ国から集まった1,100点以上のワインを審査し、20点満点で採点して賞を決定します。
さらにプラチナ賞・金賞の中からさまざまな基準で「トロフィーワイン」を選出しています。
トロフィーには15種類あり、赤・白・ロゼといった色別の他に、チリなど新世界ワインを対象としたもの、ラベルデザインを対象にしたものなどバラエティに富んでいるのが特徴です。
サクラワインアワード
サクラアワードは、2014年にワイン業界で活躍する女性のみで審査するというコンテストとして誕生しました。
日本のワイン業界で活躍するのべ400名以上の女性審査員によって、25カ国4,000以上のワインが審査されます。
賞には「ダブルゴールド」「ゴールド」「シルバー」があり、特に優れているワインには、「ダイヤモンドトロフィー」が授与されます。
寿司や天ぷらなど、食事の際に合うワインを特別賞として「和食・アジア料理にあうワイン賞」として表彰しているのも女性らしい取り組みだといえるでしょう。
コンテストで受賞しているワインを飲んでみよう
世界各国では、特徴的なワインのコンテストが数多く開催されています。
全世界から多くのワインを選出するものから、国や地域を限定して実施するものまでその内容はさまざまです。
コンテストで厳正な審査を経て賞を取ったワインだけが、メダルやラベル表記が許されるため、受賞したものを選ぶと美味しいワインに出会える確率が格段にアップします。
コンテスト受賞ワインを飲んでみて、そのワインのポテンシャルをぜひ試してみてください。